Brexitの二枚舌, Nissan Institute

こちらに来てから、「データサイエンス」まわりのいろんな文献を漁っている(カネ=私費に糸目をつけず^^、定番の書籍やMoocs講座も含めて)。この「本業」のほうは、まぁ、然るべき場所においおいpublishしていくこととして、経済学研究者のはしくれとしては、やはり、Brexitは興味深い。

学術誌やロンドンEconomist等は世界中どこでも読むことができるが、英国ローカルの「真面目な?雑誌」はないかと探して(週刊誌風ではなく極左極右風でもなく^^)、ひとつ見つけた(こちら、Prospect Magazine)。

これの今月(2017年12月)号がBrexit特集なのだが、元BOE(英国銀行)委員(日銀政策委員ほど偉いものかどうかは知らない)らのかなり悲観的な見通しを掲載している。最大の「顧客」EUへの輸出が激減、中国・インド等との新自由協定は輸入を増やして国内産業を圧迫するだけ、(移民減少により)労働生産性(実質賃金)が低下して消費が低迷し、産業競争力も大きく損われ、物価上昇とポンド安により国民生活はどんどん悪化し・・・という「悪夢のシナリオ」が延々と語られている。

それがまさにBrexit派の望んだことなのだろうからそれでいいのではないのですか? と私などは思ってしまうのだが・・・どうやら、Brexit派というのは、複雑なのだ(いまごろ、気づくことではないのかも^^)。つまり、Brexit(EU離脱)派というのは、ふたつの、まったく相異なる利害集団の烏合の集まりではないのだろうか。ひとつは「落ちこぼれ組」、もうひとつは「超エリート組」。前者は、EU単一市場がもたらす「競争」に敗北した国内生産者とイギリス人労働者たち。彼らは心底から「鎖国」、つまり、関税を上げて国内産業を保護し、安価な移民労働者の流入を止めることを望んでいる。いっぽう、後者はダイソンに代表される超効率的なイノベータで、彼らは世界のどこででも勝てるから、EUの単一市場がむしろ足かせとなっている。EUを捨て、もっと広い世界市場へ打って出ることを望んでいる。
しかしまぁ、「超エリート組」が英国経済全体にもたらず恩恵は限定されているのだろうから、近未来予測としては、(上に記したような)「悪夢のシナリオ」がもっともらしい。ただ繰り返しだが、それは国民の過半数が望んだことなのだから、それでいいのではないのだろうか。。

なお、上の「真面目な?雑誌」の関係で余談をひとつ。オックスフォード大学には、「日本研究センター」がある(Nissan Institute of Japanese Studies)。オックスフォード市街の北のほう、閑静な住宅地のなかにセンター(+図書館)がある。13年前にも訪れたのだが、ここの図書館では、「文藝春秋」「中央公論」「世界」「経済セミナー」など、日本で発刊されている雑誌の最新号が閲覧できる(「世界」などは、マンチェスタの市民図書館などでもそうだったけれど、創価系や幸福の科学系とならんで、根強いものがあるようだ)。日本研究とアジア研究の大学院が併設されて(13年前にはなかったと思う)、独立採算を目指すといったところだろうか(部外者のまったく的外れの推測だけれど、予算が縮小されている印象はやはりある)。
これのひとつ北の狭い路地(North Parade Avenue)に The Gardener’s Arms というパブがあり、オックスフォードに行ったら、昼飯はたいてい、ここの Today’s special 6.25GBP + a pint of bitter で済ませる。13年前とまったく変わらず^^。