2005年5月イスタンブール

今年の欧州チャンピオンズ杯は、リバプールFCが、ひさしぶりに決勝進出を果たしそうな勢いだ。

13年前の2005年5月にイスタンブールで行われたACミランとの決勝戦で、リバプールは、今も語り継がれる、奇跡の大逆転劇を演じた(録画ビデオはこちらで)。
“at Istanbul in 2005” は、世界のサッカーファンと一瞬で通じ合えるマジックフレーズ^^。そして実はこのときも、(たまたまではあるが)ボクはこの国に滞在していた。

13年前のこの日は、ロンドンLSEでの講演を聴講した帰りに、ユーストン駅近辺のパブでこの決勝戦を観戦。前半を終わって 0-3 となったところで、リバプール敗北を確信して帰路に着いた。ヴァージン特急でミルトンキーンズまで30分、そこからステージコーチ特急バスで30分。我が家にたどりついてTVをつけてみると、試合はなんと、延長戦に入っていた。大逆転劇のもっとも感動的な部分は見逃してしまったが、PK戦で勝敗が決した瞬間の実況アナウンサーの絶叫は忘れられない。
The champion cup is returning to England!
しかし、YouTubeで録画を見直していると、このアナウンサーはいろんな場面で絶叫していて、たとえば 2-3 となった直後には Miracles are possible! 3-3 に追いついた直後にはただただ雄叫びをあげていて、何を言っているのかわからない。そういえば、試合直後のBBCニュース、リバプールの町からのインタビュー中継も思い出した。人々は感涙にむせんで、何も言葉を発することができない。号泣しながら、ただただ腕を何度もふりあげて、なんとか喜びを伝えようとする老女の姿など。

リバプール応援団がハーフタイムにはじめた、応援歌 You’ll never walk alone の大合唱も語り草。「進め・進め・おまえは一人じゃない(みんながついている)」と繰り返される歌詞は単純そのもので、いかにも万国共通の古めかしい応援歌風。この歌は、1945年に発表されたクラシック歌劇のなかの挿入歌だったものを、リバプールの地元バンドがアレンジして発表、大ヒットして、リバプールFCの応援歌となったそうだ(Gerry & The Pacemakersのスタジオ録音版)。サッカーは労働者階級の愛好スポーツだから、その応援歌としては、オペラ歌手が高尚に歌うより、地元のロックバンドがやったほうがもちろんよい(地元の女性歌手がやるともっとよくて、たとえば、カスリン・ジェンキンスの歌うウェールズ国歌などは、他国人でも感動に身震いしてしまう)。

なお、実は、日本にも同等の名曲があって、いすゞのトラック。「進め・進め・みんながついている」(You’ll never walk alone)という歌詞は、「走れ・走れ・いすゞのトラック」にかんぺきにオーバーラップ(ボクの心のなかでは^^)。演歌は心の応援歌?などというが、こういう歌を歌わせると、日本の女性演歌歌手にはなんとも不思議な魅力がある(水前寺清子、いや畠山みどり、もとい渡辺はま子以来の伝統)。